実録公開-失敗から学ぶSalesforce運用の「3つの壁」【第3弾:技術編】〜孤独なシステム管理者のしくじりストーリー〜
- 6月19日
- 読了時間: 7分

この記事で分かること
Salesforce利活用を進めるうえでぶつかった壁(エディションとシステム構成の限界)
技術の壁を突破するための4つの取り組み
Salesforceの定着化を進めるにあたって、高度なIT技術よりも大事なこと
目次
本記事は、Salesforceの導入や運用で誰もが一度は直面する「理想と現実のギャップ」を、弊社のシステム管理者が自らの「しくじりストーリー」として赤裸々に語るシリーズの第三弾です。
多くの企業が「Salesforceを導入すればすぐに業務が改善する」と期待しますが、実際には困難が待ち受けていることも珍しくありません。
本編では、実体験に基づいたリアルな失敗事例から、いかにして運用を軌道に乗せ、最終的にAI活用まで見据えた高度な活用を実現したのか、その処方箋を公開します。
第三弾となるこの記事では、Salesforceの利活用を妨げていた3つの壁のうち、3つ目の課題である「技術の壁」とその乗り越え方を詳しくお伝えします。
▶第一弾の記事「体制編」はこちら
▶第二弾の記事「運用プロセス編」はこちら
技術の壁:エディションとシステム構成の限界
体制とプロセスを整えても、最後に立ちはだかったのが「技術の壁」でした。具体的には、使用していたエディションやシステム構成による制限や、直感的ではないUI(ユーザーインターフェース)の問題です。
まず、フローなどの自動化機能を使いたくても、当時のエディションでは作成数に上限があり、理想の自動化が実現できませんでした。
また、Salesforce標準の入力画面がユーザーフレンドリーではなく、データを一つ入力するのにも時間がかかるため 、営業担当者が「Excelの方がマシだ」と感じる原因になっていました。
さらに、必要な情報がチャットや基幹システムなど各所に散らばっており、対応場所が定まっていないという「情報の分断」も起きていました。
どれだけ運用ルールを決めても、システムの「箱」そのものが使いにくければ、現場のモチベーションは再び低下してしまいます。私たちは、管理者の熱意だけではどうにもならないシステムの限界に対して、適切な投資と外部ツールの活用という「攻めの技術戦略」で立ち向かうことにしました。
技術の壁にぶつかった3つの理由
技術面の壁が立ちはだかっていた理由は明確でした。
第一に、コスト面を重視して採用した「Professional Edition」が、弊社の成長に伴う複雑な業務ロジックに対応しきれなくなっていたこと。
第二に、UIが実業務の動線に合っておらず、入力の負荷が考慮されていなかったこと。
第三に、Salesforceを独立したツールとして捉えてしまい、他の基幹システムとの連携がなされていなかったことです。
機能を「持っている」ことと、それを「使いこなせる環境にある」ことは別物であるという、大きな教訓を突きつけられました。
技術の壁を突破するための4つの取り組み
取り組み① エディションのアップグレード
私たちは、将来的な拡張性を見据えてSalesforceのエディションを「Enterprise Edition」へアップグレードすることをを決断しました。これにより、トリガーフローの制限が3個から34個へと大幅に緩和され、より高度で複雑な自動化ロジックの実装が可能になりました。また、承認プロセスの導入や外部システムとの連携(API活用)も解禁され、Salesforceを組織のプラットフォームとして機能させるための土台が整いました。
単なるコストアップではなく、組織の生産性を引き上げるための「必要な投資」として経営陣を説得し、承認を得たことが、大きな転換点となりました。

※エディションの名称および仕様は、当時のものです。最新の情報はSalesforceの公式ページをご覧ください
取り組み② AppExchangeを活用したUIの改善
UIの使い勝手を改善するために、自前での開発に固執せず、「AppExchange」の外部パッケージを活用しました。理想の入力画面を作るために現場へのヒアリングを重ね、その動線を再現できるツール(Satoru等)を導入したのです。これにより、複数のレコードを一括で登録・更新できる画面を実現し、データ入力のストレスを劇的に軽減しました。
自分たちでコードを書かなくても、優れたパッケージを組み合わせることで、「現場が使いたくなるシステム」は構築できる。この「ローコード/ノーコード」の精神が、スピーディーな改善を可能にしました。

取り組み③ Salesforceへのデータ一元化
情報の分断を解消するため、「mitoco X」などの連携ツールを駆使し、基幹システムや人事評価システムとのデータ連携を実現しました。これにより、営業担当者はあちこちのシステムにログインすることなく、Salesforceを開くだけで契約・稼働・請求から社員情報まで、必要な全てのデータを確認できるようになりました。
ツールをまとめてタッチポイントを減らしたことで、情報収集の時間は大幅に削減され 、データに基づいた迅速な施策判断ができる「真のデータドリブン組織」へと進化を遂げました。

取り組み④ Slackを活用したコミュニケーションの活性化
最後の仕上げとして、Salesforceと「Slack」を密接に連携させました。
商談が受注に至った際には、フローが自動でSlackの営業チャンネルへお祝いのメッセージを投稿します。契約開始日や金額といった重要なサマリーもプッシュ通知されるため 、組織全体に活気が生まれ、次なるアクションへのスピードも上がりました。また、システムのメンテナンス告知などもSlackで行うことで 、管理者とユーザーの距離がより近くなりました。
システムが「箱」として存在するのではなく、日常のコミュニケーションの中に溶け込んだのです。

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まとめ
技術の壁を突破した要諦は、「エディションの壁を投資で超え、UIの不満を外部ツールで解消し、データの分断をシステム連携で繋ぐ」という多角的なアプローチにありました。
管理者の熱意という「ソフト面」を、最新の技術環境という「ハード面」が支えることで、初めてシステムは真価を発揮します。
これら全ての施策が組み合わさることで、現場のストレスは大きく軽減し、Salesforceは「なくてはならないパートナー」としての地位を確立することができました。

3つの壁を乗り越えて思うこと
改めて振り返ると、Salesforce定着化への道は「体制」「運用プロセス」「技術」の3面を同時に攻略するというものでした。
リソース不足をチーム組成で補い 、属人化したフローを標準化して自動化に載せ 、システムの限界を適切な投資と連携で突破する。
このどれが欠けても、現在の成功はありませんでした。私たちが歩んだこの「しくじり」からの再起の記録が、同じように壁に突き当たっている全てのシステム管理者、そして経営層の皆様にとって、具体的な指針となることを願っています。
ノーコード開発でここまでできる
ここで、驚くべきデータをご紹介します。私たちが実施した一連の大規模改修のうち、実は90%が「ノーコード」または「ローコード」で実現されています。プログラミング(コーディング)が必要だったのは、全体のわずか10%に過ぎません。

この事実は、「高度なIT知識がなくても、Salesforceの標準機能を熟知し、現場の業務を深く理解していれば、ここまでシステムを変えられる」という大きな希望を示しています。
まずは標準機能を使い倒し、業務をロジックに落とし込む。これこそが、最速で最大の効果を生む秘訣です。
アプリケーションビルダーがいると加速度的に改善が進む
改修が加速度的に進んだもう一つの要因は、弊社のエンジニア全員が「Platform App Builder(アプリケーションビルダー)」の認定資格を取得していたことです。標準機能を隅々まで知っているからこそ、要件に対して「どの機能を使えば最小の工数で実現できるか」の判断が的確に行えました。業務を理解している管理者が、自らの手でフローを組み上げることのスピード感は、何物にも代えがたい武器になります。
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テラテクのこれから
私たちの旅は、まだ終わったわけではありません。今後は定期的なヒアリングを継続しつつ、さらにSalesforceを「ビジネスに貢献」させるための進化を続けます。具体的には、次世代のAIエージェント「Agentforce」とSlackのさらなる活用 、そして蓄積されたデータを高度に分析する「Tableau」の導入を進めています。
Salesforceの運用に「正解」はありませんが、「失敗」には共通の法則があります。今回のテラスカイ・テクノロジーズの事例が示したのは、どんなに厳しい状況からでも、体制・プロセス・技術を三位一体で見直せば、必ず道は拓けるということです。
もし今、あなたがかつての私と同じように、孤独な運用に悩み、壁に阻まれているなら、どうか一人で抱え込まないでください。私たちの経験が、そして私たちが提供するサービスが、あなたのSalesforceを「組織の力」に変える一助となれば幸いです。
共に、Salesforceの可能性を信じ、ビジネスの未来を切り拓いていきましょう。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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