基礎から学ぼう!Amazon ECS on Fargate の概要
- hinoue2826
- 1 日前
- 読了時間: 6分

目次
この記事で分かること
・コンテナ運用における課題
・ECS(Amazon Elastic Container Service)と AWS Fargateの概要
・ECS on Fargateを導入する3つのメリット
・基本的なアーキテクチャとコンポーネント
・ECS on Fargateでアプリをデプロイする手順
・ログとモニタリングに便利なサービス
1.はじめに
アプリ開発の主流となっているコンテナ技術は、移植性やスケーラビリティから、開発・運用プロセスに大きな変革をもたらしました。
コンテナを本番環境で運用するには、基盤となるサーバー(EC2インスタンスなど)の管理、スケーリング、パッチ適用といった課題が常に付きまといます。
本ブログでは、この課題を劇的に解消するAWSの強力なサービス、「Amazon Elastic Container Service(Amazon ECS)」「AWS Fargate」に焦点を当てます。ECSとFargateの併用、すなわちAmazon ECS on Fargateがいかにコンテナ運用をシンプルにし、私たちの開発チームの生産性を向上させるか、その概要から具体的な活用方法までを解説していきます。

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2.コンテナ運用の課題
まず、コンテナ運用の課題について説明します。
Dockerなどのコンテナ技術は非常に便利ですが、いざ本番環境で多数のコンテナを動かそうとすると、以下のような課題に直面します。
🤔1️⃣サーバー管理
コンテナを動かすEC2インスタンスのOSパッチ適用、リソース監視、キャパシティプランニングなどの手間がかかります。
🤔2️⃣スケーリング
トラフィックの増減に応じて、インスタンスの増減を管理する必要があります。
🤔3️⃣可用性の設計
インスタンス障害時のコンテナの再起動や、複数アベイラビリティーゾーンへの分散を検討、設計しないといけません。
これらの課題をECSとFargateで解決できます!
3.ECSとFargateの概要
ECSとFargateの概要について説明します。
● ECS(Amazon Elastic Container Service)
AWSが提供するフルマネージドなコンテナオーケストレーションサービスです。ECSは、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、管理、スケーリングを容易にします。起動タイプに「Fargate」か「EC2」を選択可能です。
● AWS Fargate
Fargateは、ECSの「起動タイプ」の一つであり、「サーバーレス」コンテナの実行環境を提供します。Fargateを利用することで、私たちはコンテナを実行するためのEC2インスタンスをプロビジョニングしたり、管理したりする必要がなくなります。AWSがインフラ層の管理を全て引き受けてくれるため、私たちは純粋にアプリケーション開発に集中できるようになります。
ECS/Fargateの概要

EC2起動タイプとの比較

4.主要なメリット
ECS on Fargateの導入は、チームに大きなメリットをもたらします。
具体的には以下の3点です。
⭕1️⃣サーバー管理不要による運用負荷軽減
開発者はアプリケーションのビジネスロジックに集中し、運用チームは戦略的なタスクに時間を割くことができます。また、人的リソースの最適化と生産性向上に繋がります。
⭕2️⃣スケーラビリティとコスト効率
コンテナ単位で自動的にスケールアウト/インし、トラフィックの急増にも柔軟に対応できます。料金は実際に使用したvCPUとメモリのリソースに対してのみ発生します。
⭕3️⃣セキュリティの向上
AWSがFargateの基盤となるインフラを管理するため、ユーザーはOSやミドルウェアの脆弱性を気にせず、アプリケーションレベルのセキュリティに注力できます。
EC2起動タイプ(ECS on EC2)では、これらのメリットを完全には享受できず、OSのパッチ適用、セキュリティ設定、コンテナを稼働させるためのEC2クラスターのスケーリングといったサーバー自体の管理が必要になります。
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5.基本的なアーキテクチャとコンポーネント
ECS on Fargateでアプリケーションをデプロイする際には、主要なコンポーネントを理解する必要があります。
具体的には、以下の6つを理解しておくと良いでしょう。
1️⃣クラスター
ECSコンテナの論理的なグループ。FargateではEC2インスタンスの管理は不要。
2️⃣タスク定義 (Task Definition)
アプリケーションのブループリント。どのDockerイメージを使用するか、必要なCPUとメモリ、ポートマッピング、環境変数などを定義する。
3️⃣タスク (Task)
タスク定義に基づいて実行されるコンテナのインスタンス。Fargateでは、このタスクが専用の仮想マシン上で実行される。
4️⃣サービス (Service)
指定した数のタスクをクラスター内で継続的に実行し、自動的にスケーリングやロードバランシングを行うための仕組み。
5️⃣ロードバランサー(ALB)との連携
ウェブアプリケーションの場合、Application Load Balancer (ALB) と連携させることで、複数のタスクにトラフィックを分散し、高可用性とスケーラビリティを実現する。
6️⃣ネットワーキング(VPC、サブネット、セキュリティグループ)
FargateタスクはVPC内のプライベートサブネットで起動され、セキュリティグループによって通信が制御される。タスクごとにENI(Elastic Network Interface)が割り当てられる。
図に起こすと、このようなイメージです。

6.ECS on Fargateでアプリをデプロイする手順
この章では、基本的なECS on Fargateへのアプリケーションデプロイ手順を解説します。
🧑💻1️⃣Dockerイメージの作成とECRへのプッシュ
アプリケーションのコードからDockerイメージを作成します。
作成したイメージをAmazon ECR(Elastic Container Registry)にプッシュします。
🧑💻2️⃣タスク定義の作成
ECRにプッシュしたDockerイメージを参照し、タスクに必要なvCPU、メモリ、環境変数、ポートマッピングなどを記述したJSON形式のタスク定義を作成します。
🧑💻3️⃣サービスとクラスターの作成
作成したタスク定義と、実行したいタスク数、ALBとの連携設定などを指定してサービスを作成します。サービスは指定された数のタスクを常に実行し続けます。
7.ログとモニタリング
運用において、アプリケーションの動作状況を把握することは不可欠です。
そこで便利なのが、以下のサービスです。
🔍1️⃣Amazon CloudWatch Logs
Fargateで実行されるコンテナの標準出力/標準エラー出力は、Amazon CloudWatch Logsに集約されます。
これにより、アプリケーションのログを一元的に管理・分析できます。
📈2️⃣Amazon CloudWatch Metrics
ECSサービスや FargateタスクのCPU使用率、メモリ使用率、ネットワークトラフィックなどのメトリクスは、Amazon CloudWatch Metricsでダッシュボードに一元的に収集・可視化されます。
これらのメトリクスを監視し、アラームを設定することで、異常を早期に検知できます。
ECSクラスターのシステムメトリクス集約機能 Container Insightsの表示画面はこのようになっています。

8.まとめ
ECS on Fargateは、コンテナ化されたアプリケーションの運用において、サーバー管理という大きな負担を取り除く画期的なソリューションです。これにより、開発チームはインフラの心配から解放され、より価値のあるアプリケーション開発に集中できます。
ぜひ、皆さんのプロジェクトでのECS on Fargateの活用を積極的に検討してみてください。
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