監視ツール「Zabbix」とは?特徴や仕組み、Amazon CloudWatchとの違いを解説
- hinoue2826
- 11月13日
- 読了時間: 6分

目次
はじめに
システムの運用・保守において、安定稼働の確保やトラブル発生時の迅速な対応は非常に重要な課題です。
そのため、システムの状態をリアルタイムで監視し、異常を早期に検知する「監視ツール」が広く活用されています。
本記事では、代表的なオープンソース監視ツールである「Zabbix(ザビックス)」の概要や特徴、基本的な仕組み、さらにAWSにおける監視との違いについて、わかりやすく解説します。
Zabbixとは
世界15万社以上が利用しているオープンソースの統合監視ソフトウェアです。サーバー、ネットワーク機器、クラウドサービス、アプリケーションなどのパフォーマンスや可用性を監視・管理するために使われます。
Zabbixの特徴
では、Zabbixにはどのような特徴があるのでしょうか。
ここでは、主な特徴を4つご紹介します。
1 . あらゆるリソースからのデータ収集
Zabbixは以下をはじめとするリソースからデータを収集することができます。
オンプレミス環境のサーバやネットワーク機器(ルーター、スイッチ等)、ストレージ機器
オンプレミスおよびクラウド上のアプリケーション
クラウド環境(AWS、GCP、Azure等)の仮想マシンや各種マネージドサービス(ロードバランサー、データベース等)
2 . リアルタイムで高度な障害検知
Zabbixは以下のような非常に柔軟かつ高度な障害検知を提供しています。
一般的な閾値検知 あらかじめ設定した条件を超えると自動で障害として検知します。
障害と復旧の詳細条件設定 障害発生と復旧の条件を別々に定義でき、細かいアラート制御ができます。
収集データによる閾値の動的作成 過去の監視データに基づいて障害を動的に判定することができます。
3 . データの可視化
Zabbixは収集したデータをダッシュボード、グラフ、地理マップ、ネットワークマップ、定期レポート(PDF)といった方法で表示することでシステムの傾向を直感的に把握し、障害の早期発見や原因の特定が容易になります。
4 . 高い拡張性と自動化機能
Zabbixはテンプレート機能※1やディスカバリ機能※2を活用することで、監視対象の自動検出や設定の自動化が可能です。また、ユーザースクリプトやAPIを使って外部システムと連携したり、運用に応じたカスタマイズも柔軟に行うことができます。
※1 テンプレート機能
監視設定やアイテム、トリガーをまとめて管理・適用できる再利用可能な設定パッケージ
※2 ディスカバリ機能
ネットワークやホスト内のデバイスやサービスを自動検出し、監視対象を自動登録・更新する機能
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Zabbixの構成
以下はZabbixの構成例です。

それぞれの要素について解説します。
1 . Zabbixサーバ
Zabbixサーバは、監視対象からのメトリクス収集・収集データの保存・異常の検知・アラートの通知などを行うZabbixの中心的なコンポーネントです。管理者がWebインタフェースを通じて監視設定や状態確認をすることができます。
2 . Zabbixプロキシ
Zabbixプロキシは、Zabbixの監視システムにおいて中継器のような機能を果たすコンポーネントです。 Zabbixサーバの代わりに監視データを収集し、Zabbixサーバに転送することができます。主な役割は以下の2点です。
①負荷分散 多数の監視対象がある場合、Zabbixサーバの監視データの収集が追いつかなくなることがあります。Zabbixプロキシを利用することで階層構造を実現し、Zabbixサーバの負担を軽くすることができます。
②セキュリティの強化
Zabbixプロキシを監視対象のネットワークセグメントに設置し、Zabbixサーバーおよび監視対象との通信をプロキシ経由に限定することで、ネットワークを閉じた構成とし、セキュリティを高めることができます。
3. Zabbixエージェント
監視対象のサーバ上にインストールするソフトウェアです。Zabbixエージェントをインストールすることで各監視データを収集することができます。
Zabbixエージェントをインストールすることで監視できる代表的な項目は以下の通りです。
リソース監視 | CPU | 使用率、負荷など |
メモリ | 使用量、空き容量、スワップ使用量など | |
ディスク | 使用率、空き容量、I/O負荷など | |
ネットワーク | トラフィック量、エラー数など | |
サービス監視 | プロセス数 | 実行中プロセス数、プロセス有無など |
サービスの状態 | Apache、MySQL、Nginxなどの稼働状況 | |
ログ監視 | ログファイルのチェック (エラーメッセージや特定キーワードの有無) |
※なお、Zabbixはネットワーク経由で取得できる項目に限り、Zabbixエージェントなしでも監視することができます。 Zabbixエージェントなしでも監視できる項目の例は、以下の通りです。
ICMP Ping監視…監視対象が生きているか
Webサービス監視…Webサイトの稼働状況、応答時間
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ZabbixとAmazon CloudWatchの監視の違い
ここまで、Zabbixの特徴と構成について説明してきました。
最後に、ZabbixとAmazon CloudWatchでの監視それぞれのメリット・デメリットと、使い分けの例をご紹介します。
※Amazon CloudWatchとは、AWSが提供する監視サービスです。EC2やRDSなどのAWSリソースを中心に、自動的なメトリクス収集やアラーム通知が可能です。詳しくは下記公式ドキュメントをご参照ください。https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonCloudWatch/latest/monitoring/WhatIsCloudWatch.html
1 . Zabbixによる監視のメリット・デメリット
メリット | 内容 |
監視対象が広い | AWS、オンプレ、ネットワーク機器、IoT機器も一括監視可能 |
高いカスタマイズ性 | スクリプトや外部コマンドで自由に監視項目を追加可能 |
外形監視に強い | HTTP、Ping、ポート、SNMPなど多彩 |
低コスト | OSSなのでソフトウェアは無料(インフラ費用のみ |
デメリット | 内容 |
初期構築や設定が複雑 | Zabbixサーバ、DB、エージェントなど構成管理が必要 |
スケール対応に工夫が必要 | 大規模環境ではZabbixプロキシやチューニングが必要 |
リソース消費が大きい | 大量の監視データを処理するため、サーバー負荷が高くなりやすい |
2 . Amazon Cloudwatchによる監視のメリット・デメリット
メリット | 内容 |
初期構築が簡単 | 対応リソースは自動でメトリクス収集可視化される |
フルマネージド | サーバのメンテナンスやアップグレード不要 |
スケーラブル | 大規模インフラでも自動でスケール対応 |
デメリット | 内容 |
非AWS環境の監視に弱い | オンプレや他クラウドの監視には追加構成が必要 |
利用量によるコスト増加 | 監視項目やデータ保持量が多いと、コストが高くなり易い |
カスタマイズ性に制限がある | 通知ルールやメトリクスの細かい設定が自由にできない場合がある |
3 . ZabbixとAmazon CloudWatchの使い分け
ここまでZabbixとAmazon CloudWatchを比較してきましたが、実際にはどのような場面でどちらを選ぶべきでしょうか。代表的なシナリオ別に整理してみました。
シナリオ | おすすめ |
オンプレミスのサーバーやネットワーク機器の監視 | Zabbix |
クラウドとオンプレが混在するハイブリッド環境 | Zabbix |
カスタマイズや自動化を重視する大規模システム | Zabbix |
AWSのクラウドリソースを中心に運用している環境 | AWS |
運用負荷を軽減したい環境 | AWS |
まとめ
Zabbixはオンプレやネットワーク機器も含め、AWS環境に限らず幅広く一元監視できる高い自由度が特徴です。一方、Amazon CloudWatchはマネージドサービスで導入が簡単で、AWS内のリソースとスムーズに連携します。
それぞれ強みが異なるため、監視対象や運用方針に応じて使い分けることが大切です。大規模かつ多様な環境ならZabbix、AWS中心で手軽に始めたい場合はAmazon CloudWatchがおすすめです。最適なツール選びで、効率的なシステム監視を実現しましょう。
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